2017年10月21日土曜日

地球の生命を支えているエネルギー源


生命の宿る星=地球。その生命を支えているエネルギー源はブドウ糖。
そのブドウ糖は光合成によって植物がつくっている。


はじめに、生命とは? 生きものとは何でしょうか? 生きものは食べるための形をしている。手足も筋肉も食べもののあるところへ移動するために、そして食べものを捕まえるために発達してきたといえる。よく見える眼も、発達した脳も、食べものを食べるために発達したといえる。「食べること」が生きものの原点といえるだろう。

地球の生命はみな細胞でできている。細胞を維持するために、ブドウ糖を吸収して、水と炭酸ガスに分解することで、ブドウ糖からエネルギーを取り出す。これを異化という。異化によってブドウ糖により得られたエネルギーをつかってタンパク質の基になるアミノ酸を原料に自分の体のタンパク質をつくる。これを同化という。異化と同化をあわせて代謝という。ウイルスは遺伝子は持っているが、代謝機能をもっていないので生物ではない扱いになる。

生物は食べたら増える。自己を複製する機能をもっている。

上の図は地球誕生から現在までの46億年の歳月を1年(365日)に換算した表。1月1日に地球が誕生し、最初の生命が誕生したのが39億年前(2月25日頃)と考えられている。生きものは食べて増える。増えたら、増えた分だけ食べて、また増えるを繰り返すので、地球に誕生した最初の生命は、もともと地球にあった有機物を、すぐに、すべて食べつくしてしまったと考えられている。そしてこれによって生命にとっての最初の試練が与えられる。それは飢餓であったと考えられている。現在、地球に多様な生命が生きているのは、この試練を乗り越えたからである。

飢餓から生命が脱出できたのは、太陽エネルギーを生きるためのエネルギーに変換する光合成能力を獲得できたからである。27億年前(5月31日頃)のことと考えられている。

太陽からの熱は、実際には熱というようよりは電波である。熱とは、分子の移動速度であり、電波が物質にあたると物質を構成している分子を振動させて、物質の分子の移動速度を早くし、熱を生じさせる。太陽の熱は絶対温度で6000K。それが地球にふりそそいで地球を255Kまで暖めている。太陽からやってきた電波によって地球の表面の分子が振動しているのである。絶対温度の0℃は摂氏温度でマイナス273.15℃なので、255Kとはマイナス18℃となる。地球を暖めた熱のほとんどは宇宙空間に逃げていってしまう。

光合成によって作られるブドウ糖の中のカロリー(熱量)は、太陽で生産される莫大な熱の、ほんの少しをいただいたものといえる。


光合成のよってつくられるブドウ糖はカロリーを持っている。ブドウ糖100gあたり335.1kcalある。1kcalは1リットルの水の温度を1℃上昇させることができる熱量なので、335.1kcalとは、20℃の水、4リットルを100℃まで上昇させることができる熱量となる。


光合成とはどのような仕組みになっているのか?上の写真はオオカナダ藻の顕微鏡写真。細胞の中にある緑色の丸い粒が葉緑体で、この葉緑体の中で光合成は行われている。

上の図は、高校の生物の資料集に記載されていたものの転写。左から葉緑体の電子顕微鏡写真。黒い粒はデンプン粒というブドウ糖を原料に作られたデンプンの粒。真ん中のイラストは葉緑体の構造図。二重膜構造になっていて、内側の膜の上に太陽光を受け止めるソーラーパネルが乗っている。


上の図は、同じく高校の生物の資料集より、「同化色素」というは、光を吸収する緑色の色素=クロロフィルのこと。「同化」とは自分の体でないものを吸収し、自分の体をつくること。光合成は無機物の二酸化炭素と水と太陽エネルギーをつかって有機物のブドウ糖をつくる「炭素同化」ということができる。
光を受け止めるクロロフィルの中心構造はマグネシウムでできていて、4つの窒素がマグネシウムを支えている。全体はポリフィン環という炭水化物でできている。それにフィトールというやはり炭水化物でできている尻尾がついている。凧のような形をしている。

光合成は明反応と暗反応の2段階でブドウ糖をつくる。まず明反応について、①光をマグネシウムでできているソーラーパネルで受け止めて、光を電気に変える。②電気で水を電気分解して水を水素と酸素に分ける。酸素はいらないので捨ててしまう。③水素イオンはATP合成酵素を通過するときに、ATPをつくる。ATP合成酵素は、水素イオンで回転するタービンのような仕組みで、回転のよって生じる摩擦エネルギーを使ってATPをつくっている。光という形のないものから水素イオンという形のあるものを得る。水素は単体でもエネルギーをもっている物質で、火をつけると爆発する。

エネルギーはあっても爆発するようなものを貯蔵することは危険すぎるので、炭酸ガスと水をつかって、安定した物質であるブドウ糖にする。これが暗反応。葉緑体の中には炭酸ガスを捕まえるルビスコという酵素があり、ATPに一時的に貯められたエネルギーをつかってブドウ糖がつくられる。


通常の酵素は毎秒1000個の分子を処理できるが、ルビスコは毎秒たった、約3分子の二酸化炭素しか固定できない。これは極めて効率が悪い酵素ということができる。その理由はルビスコが酸素と二酸化炭素を区別できず、酸素を捕まえてしまうと、その酸素を除去するするまで、新たに二酸化炭素を捕まえることができない。ルビスコの含有量は、ホウレン草100g食べたら、そのうち1gがルビスコというくらい多い。葉緑体のタンパク質の約半分がルビスコとなっていて、地球上でもっとも多い酵素ということもできる。

太陽は水素と水素との核融合によって膨大なエネルギーを生産している。光合成では太陽からもたらされた光を活用して水を分解して水素を取り出している。水素のままでは危険なので、安定したブドウ糖にしている。生物の生きるエネルギーはブドウ糖をミトコンドリアの中で水素イオンにまで分解してエネルギーを取り出している。つまり、水素を媒介としたエネルギー流れといえる。


光合成によって得られたブドウ糖。ブドウ糖を同じ方向につなげていくとデンプンになる。また、ブドウ糖を互い違いにつなげていくとセルロースになる。


ブドウ糖は炭素と水の化合物。つまり炭水化物。


ビタミンなどの栄養価も、ブドウ糖からつくられる。


細胞を構成しているタンパク質の原料であるアミノ酸も、原料はブドウ糖である。


植物の体の9割は炭素と水素と酸素でできている。

金星と地球と火星は、兄弟の星だが、地球だけに生命が宿っている。金星と火星の大気の95%以上が二酸化炭素だが、地球は窒素が78%で酸素が20%で二酸化炭素はわずかに0.03%しかない。地球の二酸化炭素が少ないのは、海に溶け込んでいるために少ないのだが、地球の酸素20.9%はこれは光合成によって生産されたものがたまりにたまったものである。
わたしたちは酸素がないと3分といけていけないほどに、酸素に依存して生きている。そして、その酸素は植物が光合成によって生産している。では、わたしたちが必要としている酸素は、いったいどれだけの植物によって支えられているのだろうか?

人間は1回呼吸するたびに25mgの酸素を消費する。1分間に15回呼吸するとして1時間あたり22.5リットルが消費されている。22.5リットルを重さに換算すると32g

10㎝四方のトウモロコシの葉は1時間あたり40~50mgの酸素をつくっている。人間は1人あたりが必要な1時間あたり32gの酸素をつくるには10㎝四方のトウモロコシの葉が640枚~800枚必要という計算になる。つまり6.4~8㎡の大きさの葉が必要となる。

実際には光合成をおこなっているのは太陽の出ている昼間だけなので、必要な葉の面積はこの2倍の12.8~16㎡となる。1辺の長さは2.8~4mとなる。


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